設立趣意書

 今日我が国が直面している対外摩擦は、経済的な問題に端を発しているとはいえ、一面 、諸外国との相互理解の不足が問題の解決をより一層困難にしていることも否めない。世界に開かれた活力ある国づくりを進め、永続的な人的交流を通じて、諸外国との相互理解を図っていくことは、我が国にとって極めて重要かつ緊急の課題となっている。

 他方アジア諸国を中心にして、世界各国から我が国の学術・技術研究をめざし来日する留学生・研究者の数は近年大幅に増大しつつあり、こうした外国人留学生などの生活環境を整備していくためには、政府のみならず民間においても積極的な支援体制をつくっていくことが強く求められている。

 こうしたことから、社団法人 経済同友会では、昭和62年2月より、企業の社員寮に留学生を受入れることにより、彼等を経済的に支援すると同時に、社員と留学生との日常的な交流を通じた相互理解の促進、国際感覚の養成を目的とした「社員寮への留学生受入れプログラム」を開始した。現在、民間諸団体、民間企業の理解・協力を得てこうした受入れが進みつつあり、多くの外国人留学生への安定的な宿舎の確保に大きく貢献している。

 また先に政府は、関係閣僚懇談会を設置するなど留学生政策の拡充・充実を図る一方、経済界においても昭和63年4月には、経済四団体共催による企業協力懇談会が開催されるなど、官民一体の協力体制での展開が整いつつある。

 このような状況に鑑み、アジア諸国をはじめ世界各国からの留学生を企業の社員寮を受入れる等、企業が行う留学生に対する支援を推進するとともに、留学生と地域社会等との交流の促進を図り、もって我が国と諸外国との相互理解の増進に寄与することを目的として、ここに「財団法人 留学生支援企業協力推進協会」を設立しようとするものである。

[平成元(1989)年2月28日]